リコピンだけじゃない?健康サロンが解説するトマトのフィトエンと食習慣

「トマトは体によさそうだけれど、どの成分が注目されているの?」「毎日食べるなら、どんな食べ方がよいの?」
そんな疑問につながる研究が、米タフツ大学から発表されました。今回の主役は、赤い色素のリコピンではなく、無色の成分「フィトエン」です。ただし、分かったのはマウスでの作用であり、人での予防・改善効果を確かめた研究ではありません。
健康サロンでは、この新研究の内容と、普段の食卓でトマトを取り入れる際の考え方を紹介します。
トマトのフィトエンとは?リコピンだけではない研究の広がり
フィトエンは、植物がリコピンなどのカロテノイドを作る際のもとになる成分です。トマトのほか、ニンジンや赤ピーマンなどにも含まれています。今回初めて発見された成分ではなく、以前から知られていた成分の働きを調べた研究です。
タフツ大学は2026年8月26日に研究成果を発表しました。論文は同月23日、学術誌『Molecular Nutrition & Food Research』にオンライン公開されています。
これまでの動物研究では、トマト粉末が精製したリコピンを上回る肝臓保護作用を示した例がありました。そこで研究チームは、リコピン以外の成分にも目を向けています。
「トマトのよさは一つの成分だけで説明できるのか」。今回の研究は、その問いを掘り下げたものです。
トマトのフィトエンと肝臓の脂肪に見られた変化
研究では、精製炭水化物の多い餌を与えたマウスについて、フィトエンを補給する場合と補給しない場合を24週間比較しました。通常のマウスでは、補給した群で肝臓の脂肪蓄積が軽減しました。
また、フィトエンを補給したマウスでは、脂肪酸をエネルギーとして利用する仕組みに関係する遺伝子やたんぱく質にも変化が見られました。
一方、カロテノイドの分解に関わる二つの酵素を欠くマウスでは、体内にフィトエンが多く蓄積しても、同様の保護作用は確認されませんでした。
体内に成分が多くたまることと、目的とする作用が現れることは同じではありません。分解後にできる物質の関与が示唆されていますが、詳しい仕組みは今後の研究課題です。
トマトを何個食べればよい?今回の研究で分かる範囲
ここで大切なのは、実験で使われたのがフィトエンの補給であり、人にトマト料理を食べてもらった試験ではない点です。この結果だけで、脂肪肝の予防や改善に必要なトマトの個数は決められません。
大学の発表には実験量を人の食品摂取量に換算した説明もありますが、それは効果を確かめた推奨量ではありません。「毎日たくさん食べるほどよい」という読み方は避けたいところです。
日々の食事では、一つの食品の量を増やすより、食事全体の組み合わせを確認してみましょう。厚生労働省と農林水産省の「食事バランスガイド」も、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物を組み合わせる考え方を示しています。
トマトの新研究をきっかけに食卓を見直すなら、「何個食べるか」の前に、「いつもの食事に野菜料理があるか」を確かめるところから始めてはいかがでしょうか。
トマトの食べ方は、いつもの献立に合わせて
取り入れ方の例として、朝食にパンと卵を用意する日は、切ったトマトを添える方法があります。夕食なら、魚や豆腐のおかずにトマトの小鉢を組み合わせてもよいでしょう。これらはフィトエンの効果を高める組み合わせではなく、主食・主菜・副菜をそろえるための献立例です。
生のトマトを使う日もあれば、トマト缶を使って野菜や豆を煮込む日があっても構いません。「毎日同じ形で食べる」ことを目標にせず、その日の献立に合わせて使う方法を選びましょう。
調理時間をかけられない日は、購入したサラダや惣菜を組み合わせる方法もあります。厚生労働省の食生活改善普及運動でも、中食を取り入れながら主食・主菜・副菜をそろえることが紹介されています。
2026年9月の同運動では、野菜と果物をそれぞれ一皿増やすことも呼びかけています。 トマトの研究を「特別な成分を集中的にとる話」ではなく、「普段の食事を整えるきっかけ」として読むと、取り組むことが具体的になります。
例えば、昼食が麺類だけの日は、夕食の野菜料理を考えておく。買い物の前に、冷蔵庫にある野菜を確認する。新しい食品を買い足すことだけでなく、今ある食材の使い方から考えてみましょう。
野菜全体の摂取目標は1日350gです。ただし、これはトマトだけで満たす量ではありません。葉物野菜や根菜など、さまざまな種類を組み合わせることが勧められています。
味付けにも目を向けたいところです。野菜を増やす際は、食塩を含む調味料の使いすぎに注意し、香辛料や柑橘類、減塩調味料を活用する工夫が紹介されています。
例えば、トマトの小鉢には、塩を足す前にこしょうやレモンで味を調えてみる。煮込み料理なら、仕上げに味を確かめてから調味料を加える。特別な健康料理を作るというより、普段の調理の中で試せる工夫です。
肝臓の健康が気になるときは、食生活全体を確認
脂肪肝の対策を考える場合は、トマトだけに役割を求めないことも大切です。米国立糖尿病・消化器病・腎疾病研究所は、健康的な食事、食べる量の調整、適切な体重の維持を基本として示しています。
甘い飲み物をよく飲む、食事量が多くなりがち、といった習慣も見直しの対象です。同研究所は、糖分を多く含む食品や飲料を控えることなどを紹介しています。すでに脂肪肝を指摘されている方は、体格や病状に合った食事を医師や管理栄養士と相談してください。
相談するときは、食事や間食、飲み物を数日分メモしておくと、具体的な食べ方を話し合う材料になります。「体によいものを増やす」だけでなく、何をどれくらい食べているかも一緒に確認しましょう。
サプリメントを利用している場合は、製品名、摂取量、利用期間を医師や薬剤師に伝えましょう。東京都健康安全研究センターも、使用状況の共有を呼びかけています。食品の研究を、そのまま特定のサプリメントの効果と結びつけないことが大切です。
新しい発見を、続けられる食習慣のきっかけに
トマトのフィトエンをめぐる研究は、身近な食材の成分と肝臓の代謝との関係を調べたものです。人での効果の検証と、今できる食事の工夫は、分けて受け止めましょう。
まずは今日の献立を見て、野菜料理を一皿添えられるか考えてみる。トマトだけにこだわらず、ほかの野菜も選ぶ。新しい発見を、無理なく続けられる食習慣への入口にしてはいかがでしょうか。
健康サロンは今後も、役立つ情報発信を継続していきます。



