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コーヒーで体脂肪は減る?筋肉量との関係を最新研究から検証

9月1日
読了時間: 6分

コーヒーで体脂肪は減る?筋肉量との関係を最新研究から検証

「コーヒーは眠気を覚ますための飲み物」という印象を持つ人は多いでしょう。ところが近年は、体脂肪や筋肉量、糖代謝との関係にも関心が集まっています。


2026年7月16日に『European Journal of Nutrition』で公表されたフィンランドの研究では、コーヒーを多く飲む人ほど、総体脂肪と内臓脂肪が少なく、骨格筋量が多い傾向が示されました。ダイエットや健康維持にコーヒーを取り入れたい人にとって気になる結果ですが、「飲めばやせる」と受け取るのは早計です。研究から分かったことと、日常生活での適切な取り入れ方を整理します。



コーヒーと体脂肪の関係が注目された最新研究


研究対象となったのは、フィンランド北部出生コホートに参加する46歳の男女2,264人です。研究チームは、普段のコーヒー摂取量と、体組成、血中代謝物、糖・インスリンに関する指標、性ホルモンとの関連を調べました。


参加者は、コーヒーを飲まない人、1日1~2杯、3~4杯、5杯以上のグループに分けられました。その結果、摂取量が多いグループほど、体脂肪率、脂肪量、内臓脂肪面積が低く、骨格筋量が多い傾向が確認されました。


興味深いのは、BMIや腹囲にはグループ間で大きな違いがなかった点です。体格が似ていても、脂肪と筋肉の割合には違いがみられたことになります。


分析では、BMIのほか、学歴、喫煙、身体活動、飲酒といった生活習慣の影響も統計的に調整されました。

また、男女ともにコーヒーの摂取量が多いほど、血中の分岐鎖アミノ酸、いわゆるBCAAが低い傾向もみられました。BCAAは体に必要なアミノ酸ですが、血中濃度が慢性的に高い状態は、インスリン抵抗性などとの関連が研究されています。今回の結果は、コーヒーと代謝の関係を考える新たな手掛かりといえます。


男性では、コーヒー摂取量が多いほど、空腹時インスリンや糖負荷後のインスリン値が低く、インスリン感受性が高い方向の関連もみられました。一方、女性では同じような関連は限定的でした。

性ホルモンについても男女で異なるパターンが示されましたが、数値の動きは単純ではありません。たとえば男性では総テストステロンと生物学的利用可能テストステロンが高い一方、遊離テストステロンは低い方向の関連でした。

したがって、「コーヒーが男性ホルモンを増やす」「コーヒーを飲めば筋肉がつく」といった解釈はできません。


筋肉量が多かった理由も、今回の研究からは分かっていません。身体活動などの生活習慣を統計的に調整しても、調査では捉えきれない違いが残っている可能性があります。

コーヒーそのものが筋肉を増やしたと確認されたわけではありません。筋肉量を維持するには、適切な運動と日々の食事を土台にして考えることが大切です。



カフェインだけの効果とは言い切れない


体脂肪との関連を考える際、まず注目されるのがカフェインです。


研究者は、カフェインがアデノシン受容体の働きを妨げ、交感神経を刺激することで、エネルギー消費や脂肪分解を一時的に高める可能性を挙げています。

ただし、コーヒーにはカフェイン以外にも、クロロゲン酸やトリゴネリンなど、さまざまな成分が含まれています。


今回の研究では、豆の種類、焙煎方法、抽出方法、カップの大きさ、砂糖やミルクの使用状況までは確認されていません。そのため、観察された違いがカフェインによるものなのか、別の成分や飲み方によるものなのかは判断できません。


「カフェインの効果」を知りたい場合でも、カフェイン単体の研究と、コーヒーを対象にした研究は分けて考える必要があります。

今後は、カフェインの有無やコーヒーに含まれる成分ごとの検証が必要です。



コーヒーを飲めば体脂肪が減るわけではない


今回の研究は、ある時点のコーヒー摂取量と健康指標を比べた横断研究です。


コーヒーを多く飲んだ結果として脂肪が減り、筋肉が増えたことを証明したものではありません。もともとの食習慣や仕事、運動内容など、統計的に調整しきれない違いが影響した可能性もあります。


さらに、体脂肪や骨格筋量は生体電気インピーダンス法で測定されています。この方法は広く使われていますが、体内の水分状態などに左右される間接的な推定法です。


コーヒーを飲まない参加者が70人と少なかったことや、対象が同じ年齢のフィンランド人に限られていたことも、結果を日本人全体へそのまま当てはめにくい理由です。

したがって、この研究は「コーヒーにダイエット効果がある」と結論づける材料ではありません。


現時点では、「コーヒーを飲む習慣と、脂肪・筋肉・代謝の状態に関連がある可能性」を示した段階と捉えるのが適切です。



健康的にコーヒーを取り入れるポイント


コーヒーは、食事や運動に代わるものではありません。体脂肪を管理しながら筋肉量を保つには、日々の食事、無理なく続けられる運動、十分な睡眠を土台にすることが大切です。


厚生労働省の身体活動・運動ガイドでは、個人差に応じて今より少しでも多く体を動かし、成人には筋力トレーニングを週2~3日行うことが推奨されています。


そのうえで、日々の飲み物として次の点を意識するとよいでしょう。

  • 体重管理が目的なら、砂糖、シロップ、クリームを加え過ぎない

  • 夕方以降のカフェインで眠りにくくなる人は、時間を早めるかデカフェを選ぶ

  • コーヒー以外の茶、清涼飲料水、サプリメントも含め、1日の総カフェイン量を考える

  • 動悸、不安、胃の不快感、不眠などが出る場合は量を減らす

  • 妊娠中、授乳中、服薬中の人は、医師や薬剤師へ確認する


カフェインの過剰摂取では、動悸、不安、ふるえ、不眠、下痢、吐き気などが起こることがあります。コーヒーだけでなく、エナジードリンクやカフェインを含む錠剤などから摂る量にも注意が必要です。


農林水産省は海外当局の情報として、健康な成人では1日400mgまでのカフェインは、一般に危険な悪影響と関連しない量と紹介しています。


ただし、これは誰にでも同じように当てはまる「推奨量」ではありません。カフェインへの感受性や代謝速度には個人差があり、少量でも眠れなくなる人がいます。妊娠中については、海外機関の目安として1日200mgが紹介されています。



コーヒーは健康習慣を支える一要素として


最新研究では、コーヒーを多く飲む人ほど、BMIが同程度でも体脂肪や内臓脂肪が少なく、骨格筋量が多い傾向が示されました。

一方で、因果関係や有効な摂取量はまだ明らかではなく、カフェインだけの効果とも断定できません。


大切なのは、コーヒーを「飲むだけで体が変わる食品」と考えず、自分の体調や睡眠に合わせて楽しむことです。


健康サロンでは、身近な食品と健康の関係を、研究結果の限界も含めて分かりやすくお届けしていきます。

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