塩飴・スポーツドリンクは毎日必要?夏の高血圧予防
- 8月27日
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「熱中症予防には塩分補給が必要」と聞き、夏になると塩飴やスポーツドリンクを毎日取り入れている方もいるかもしれません。一方で、高血圧にならないためには減塩が大切ともいわれます。どちらを優先すればよいのか、迷いやすいところです。
厚生労働省は2026年7月16日、熱中症予防に関する注意喚起を改めて周知しました。また、日本高血圧学会も同年6月、夏でも日常的に塩分を増やすのではなく、こまめな水分補給と適切な減塩を基本とする考え方を示しています。
大切なのは、普段の食事が取れているか、どの程度汗をかいたかを分けて考えることです。通常の生活では水分補給と暑さ対策を基本にし、大量に汗をかいた場面では水分と電解質を一時的に補います。夏の高血圧予防と熱中症対策を両立する考え方を見ていきましょう。
夏の高血圧予防で塩分補給が迷いやすい理由
熱中症は、高温多湿な環境で体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、体温調節がうまく働かなくなったりして起こります。そのため、「汗をかく季節は塩分を取ったほうがよい」という情報自体は間違いではありません。
ただし、塩分補給が必要になるのは、炎天下での長時間作業や激しい運動などで大量に汗をかいた場合です。日本高血圧学会は、3食をきちんと食べている人の多くは必要な塩分をすでに食事から取っており、熱中症予防を目的に日常的な塩分摂取を増やす必要はないとしています。
買い物や通勤、室内での家事といった普段の生活まで、すべて「塩分補給が必要な場面」と考えないことがポイントです。
日本人は食塩を取り過ぎる傾向がある
厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査によると、成人の食塩摂取量の平均は1日9.6gでした。この12年間では最も低い値ですが、健康日本21(第三次)が掲げる1日7gの目標をなお上回っています。
日本高血圧学会が示す目安は、高血圧の方で1日6g未満、一般の成人では男性7.5g未満、女性6.5g未満です。夏に限らず、まずは普段の食事に含まれる塩分を意識することが、高血圧にならないための基本となります。
塩分は、しょうゆや塩だけに含まれるわけではありません。みそ汁、麺類のつゆ、漬物、ハムや練り製品、総菜、カップ麺などにも含まれます。
食卓で調味料をかけ過ぎないことに加え、汁物を飲み干さない、加工食品の栄養成分表示で「食塩相当量」を見るといった工夫が役立ちます。
塩分の取り過ぎが血圧に影響する仕組み
食塩に含まれるナトリウムを多く取ると、体はナトリウム濃度を一定に保つために水分をため込みやすくなります。その結果、血液の量が増え、血管にかかる圧力が高まる方向に働きます。WHOも、ナトリウムの多い食事による主な健康影響として、血圧の上昇を挙げています。
塩分への反応には個人差がありますが、日々の食事で少しずつ減らすことは、将来の血圧管理を考えるうえで大切です。
急に味を薄くし過ぎると続きにくいため、だし、酢、柑橘類、香辛料、香味野菜などを使い、塩味以外の風味を生かすと無理なく取り組めます。
普段の水分補給は水や麦茶を中心に
自宅や職場で過ごす通常の日は、水や無糖の麦茶などをこまめに飲むことが基本です。高齢になるとのどの渇きを感じにくくなるため、起床後、食事時、入浴の前後、就寝前など、飲むタイミングを決めておくと続けやすくなります。
一度にまとめて飲むのではなく、生活の中で何回かに分けて補うのが現実的です。
あわせて、次のような暑さ対策も心がけましょう。
エアコンや扇風機を適切に使う
遮光カーテンなどで直射日光を避ける
暑い時間帯の外出や運動を控える
帽子や日傘、通気性のよい服装を活用する
暑さ指数や熱中症警戒アラートを確認する
塩分を足す前に、汗をかき過ぎない環境を整えることが大切です。
朝食を抜かないことも意識したいポイントです。3食を取ることで、食事に含まれる水分や最低限の塩分、エネルギーを自然に補いやすくなります。
大量に汗をかいたときは水分と電解質を補う
炎天下での仕事、長時間のスポーツ、屋外イベントなどで大量に汗をかいた場合は、水分だけでなく、失われた電解質を一時的に補うことを検討します。
活動の前後で体重を測ると、水分がどの程度失われたかを知る目安になります。血圧とあわせて体重を記録しておくと、普段との変化にも気づきやすくなります。
このような場面ではスポーツドリンクなどが選択肢になりますが、日常の水代わりに飲み続けるものではありません。
日本高血圧学会によると、スポーツドリンク500mLには食塩が約0.5g、経口補水液500mLには約1.5g含まれる例があります。製品によって成分は異なるため、栄養成分表示を確認しましょう。
塩飴も同様です。「夏だから毎日」ではなく、汗の量や活動内容を基準に使い分けることが大切です。
経口補水液は日常の予防飲料ではない
経口補水液は、脱水時の水分と電解質の補給を目的とした病者用食品です。一般的なスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムを多く含み、脱水時に吸収しやすいよう成分が調整されています。
ただし、普段から健康維持のために飲み続ける飲料ではありません。消費者庁は、日常的または大量に飲むと、血圧や心臓への負担が懸念されると案内しています。熱中症に対応している製品もあるため、パッケージの表示を確認し、必要性に迷う場合は医師、管理栄養士、薬剤師などへ相談しましょう。
通常時は水や無糖のお茶、大量に発汗した場面や脱水が疑われる場合は目的に合った飲料というように、役割を分けることが大切です。
高血圧にならないために今日からできること
夏の血圧管理は、特別な健康法よりも、毎日の小さな習慣が土台になります。
汁物は回数と量を見直し、汁を残す
麺類のスープは飲み干さない
しょうゆやドレッシングは「かける」より「つける」
加工食品や総菜は食塩相当量を確認する
水や麦茶を手の届く場所に置く
家庭血圧を測り、記録する
睡眠不足や過度な飲酒を避ける
朝食を含め、できる範囲で3食を取る
暑い時期は、血圧だけでなく体重や食欲、体調も一緒に記録すると、脱水や食事量の変化を把握しやすくなります。
持病や薬がある方は自己判断で変えない
高血圧の治療中で利尿薬などを服用している方や、医師から水分・塩分の制限を指示されている方は、一般的な熱中症対策がそのまま当てはまらない場合があります。
暑いからと水分や塩分を急に増やしたり、血圧が低めだからと薬の量を変えたりするのは避けましょう。
普段より低い血圧が続く、ふらつく、食事が取れない、発熱、吐き気、下痢などがある場合は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。日本高血圧学会も、利尿薬を服用している方は、体調不良時の服薬や水分・塩分補給について、あらかじめ医師へ相談するよう案内しています。
夏こそ「こまめな水分」と「適切な減塩」を
高血圧にならないために、夏でも減塩の基本を手放す必要はありません。
普段の生活では水や麦茶をこまめに取り、空調や服装で暑さを避けます。そして、大量に汗をかいた場面に限って、水分と電解質を一時的に補う。この使い分けが大切です。
「夏は塩分」という言葉だけで判断せず、普段の食事、発汗量、持病、服薬状況を確認して、自分に合った方法を選びましょう。家庭血圧を測る習慣も、変化に早く気づく助けになります。
健康サロンは、健康づくりに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。



