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血液検査で認知症リスクを25年前に把握できる可能性 女性約2700人の研究で示唆

  • 3月17日
  • 読了時間: 3分
血液検査で認知症リスクを25年前に把握できる可能性 女性約2700人の研究で示唆

認知症は気づかないうちに脳で進行する病気ですが、最近の研究で、血液中の特定のタンパク質を測るだけで、将来のリスクをかなり早い段階から把握できるかもしれないことが分かりました。血液検査という手軽な方法で、脳の健康状態の“予兆”をとらえる時代が近づいているのです。


この研究は米カリフォルニア大学サンディエゴ校などのチームが行い、医学誌「JAMA Network Open」に掲載されました。注目されたのは「p-tau217(リン酸化タウ217)」というバイオマーカーで、脳内で進む神経変化を反映する指標です。


2,700人以上の女性を25年間追跡


研究では、米国の大規模調査「Women’s Health Initiative Memory Study」に参加した2,766人の女性を対象にしました。年齢は65〜79歳で、当時は認知症や軽度認知機能障害(MCI)の症状はありませんでした。


保存されていた血液サンプルを使いp-tau217の濃度を測定。その後、25年間にわたる健康データと照合した結果、血中濃度が高い人ほど将来的にMCIや認知症を発症する傾向があることが分かりました。研究者たちは、「症状が現れるずっと前から、リスクの兆しを示す可能性がある」と述べています。


p-tau217とは何か?


p-tau217は、アルツハイマー病の進行と関係するタウタンパク質の変化を血液から間接的に捉えるバイオマーカーです。脳の神経細胞がじわじわと変性していく過程を、血液サンプルから知る手がかりになります。


アルツハイマー病では、症状が出る10〜20年前から脳内の神経細胞に変化が起きると考えられています。そのため、こうした血液バイオマーカーを使った早期発見研究は世界中で注目されているのです。


年齢や遺伝で差も


研究では、p-tau217の関連性が年齢や遺伝子によって変わることも明らかになりました。

  • 70歳以上の女性

  • アルツハイマー病のリスク遺伝子「APOE ε4」を持つ人

では、血中濃度と将来の認知症リスクの関係がよりはっきり現れました。また、ホルモン療法の有無も影響する可能性があると研究者は指摘しています。


早期介入や治療開発への応用


世界的に認知症患者は増加しており、早期発見や予防の重要性は増す一方です。血液検査でリスクを把握できれば、脳画像検査や脳脊髄液検査より手軽に定期的なチェックが可能になります。


将来的には、次のような活用が期待されています:

  • 認知症の早期モニタリング

  • 生活習慣の改善などによる予防的介入

  • 新しい治療薬の臨床試験に参加する人の選定

ただし、現時点では個人の認知症発症を断定的に予測できるものではありません。研究者たちは、さらに多くの人々を対象にした追跡や男女差の検証が必要だと述べています。


血液バイオマーカー研究の今後


近年、アルツハイマー病の早期検出を目指す血液バイオマーカー研究は急速に進んでいます。p-tau217は特に注目されており、脳内の病理変化を比較的正確に反映できることが分かってきました。今後、より多くの対象者で精度を検証すれば、認知症予防や医療現場に新しい手法をもたらす可能性があります。

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